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今回の登場人物
スマ子
スマホ大好き。パソコンのことは全く分からない。
パソたん
パソコンおたく。よく分からない知識が豊富。
「前回でパソコンのスペックを左右する要素は終わったんだよね」
「そう。ここからはいよいよ、個人の好みで選択肢が変わる、細かい項目に入っていくよ」
「前回もそんな感じのことを言っていたけど、具体的にはどういうことなの?」
「一応無限といえば無限にあるんだよね。その人その人によって着眼点や重視ポイントが違うからね」
「え~・・・じゃあパソたん的には何を見てるの?」
「そうだねぇ、記憶装置とグラフィック性能、それから外部接続かなぁ」
「それじゃとりあえずそれらについて教えてよ」
「分かったよ。となると最初は記憶装置だね」
「記憶装置と難しい言葉で呼んだけど、つまりHDDやSSD、eMMCのようなメモリーと総称されるディスクドライブのことだよ」
「まず昔から存在しているのがHDD。円盤状のパーツにデータを記録して、磁気ヘッドでそれらを読み書きするんだ」
「レコード盤みたいなイメージ?」
「そう、まさにレコード盤だ」
「HDDは広く普及している記憶媒体だから部品コストは安いんだけど、データの位置まで磁気ヘッドを動かしたりする関係上、書き込みや読み出しの速度は劣るよ」
「そして、物理的な円盤に書き込まれた情報を磁気ヘッドで読み取るという構造上、駆動音もするし、強い衝撃が加わると円盤とヘッドが接触して破損するリスクもある」
「えっ、それは困るなぁ。持ち歩くと壊れやすいってこと?」
「その人の扱い方によるかな。落としたら壊れる可能性があるってのはパソコンに限らない話だからね。でもHDDが比較的衝撃に弱いのは確かだよ」
「それじゃあ持ち歩くようなパソコンには向いてないのかな」
「一応そういう傾向が強いね」
「ただし電源が入っていなければ磁気ヘッドは円盤と接触しないところに退避するようになっているし、メーカーによっては稼働中でも衝撃を検知して、磁気ヘッドを退避させる機能が付いているものもある」
「昔のLet’s NoteだってHDDが標準仕様のモデルもあったし、そこまで神経質になる必要はないかな」
「でも何かあったら怖いし、もうちょっと衝撃に強い記憶装置はないの?」
「そこで登場するのがフラッシュメモリ型の記憶装置。SSDとかeMMCとかいうやつだね」
「フラッシュメモリ?SSDとかeMMC?」
「半導体素子を使った記憶媒体・・・といってもピンとこないよね。つまりはチップみたいなものにデータを保存するタイプの記憶装置だよ」
「目にする機会はSSDのほうが多いね。eMMCは小容量の省電力用途として、スマホの内蔵メモリーや格安PCでたまに遭遇できるよ」
「なるほど、でもなんでフラッシュメモリだとHDDより衝撃に強くなるの?」
「フラッシュメモリの最大の特徴は、HDDのような円盤を用いないこと。つまり磁気ヘッドもないから、音もしないし、衝撃が加わっても破損するリスクがHDDより少ない」
「すごい!」
「さらにHDDのように磁気ヘッドを移動させる必要もないから、データの読み書き速度も桁違いに速いよ。条件次第ではすごい速度も出せるんだ」
「条件次第?」
「HDDやSSDの共通コネクタはSerial ATA(SATA)と呼ばれる規格なんだけど、SSDにはさらに高速でデータを転送できる、M.2と呼ばれるコネクタを持つ種類があるんだ。最大転送速度は製品次第だけど、とてつもない速度に対応しているものもあるよ」
「HDDとSSDが在来線と新幹線だとしたら、M.2のSSDはリニア新幹線みたいな感じなんだねぇ」
「まさにその通り。HDDとSSD、M.2製品でパソコンの起動時間がどれだけ変わるかは、検索すると動画がたくさん見つかると思うから、それで体験してみてね」
「それじゃもうSSD一択ってことだね!」
「まあ待とうかスマ子。確かに長所ばかりに見えるSSDだけど、やっぱり短所も存在するんだ」
「えっ・・・!」
「まず第一に、SSDは部品コストがHDDより高めだよ。最近は猫も杓子もSSDで、比較対象が少ないことが多いけどね」
「あちゃー、予算のことすっかり忘れてたよ」
「そして第二に、故障時のデータ救出可能性はHDDより低いみたいだよ」
「えっ、何それは・・・?」
「パソコン修理を専門とする業者で、故障した記憶装置からデータを復旧できるかどうかってことだね」
「これはそもそもHDDとSSD(フラッシュメモリ)でのデータの扱いが異なることが理由なんだ」
「HDDはデータを書き込むときに、データのまとまりごとに書き込むんだ。ひとつのデータが分散すると、磁気ヘッドを無駄に動かして余計ロスタイムが生まれるからね。しかしこの書き込み方では、ディスクに無駄な隙間が生じることがある」
「しかしSSDでは、データの位置さえ分かればどこに書き込んでもアクセスできるから、保存場所の隙間を埋めるように分散してデータを書き込んでいくよ」
「ほうほう・・・?」
「こうなるとどうなるか。HDDの場合、データごとに保存箇所が分かれているから、破損箇所以外のデータは無事なことが多い」
「ところがひとつのデータが複数のチップに跨るSSDでは、たとえ一つのチップでも異常が出るとどうしようもなくなっちゃうことが多いんだ」
「うわ~、どっちも一長一短って感じなんだねぇ」
「もちろん、SSDが故障するまでにはそれなりの使用時間を要するから、最初から深刻に悩む必要はないよ」
「なーんだ。パソたんの脅しはいつも心臓に悪いよ~」
「というか壊れた時のこともなんだけど、故障率みたいな数値はどうなの?」
「故障率は正直どっちもそんなに変わらないような気がするなぁ、差があったとしても僅差だろうね」
「わたしとしては故障率に関わらず、HDDでもSSDでも、大事なファイルはバックアップを取ったり、Googleドライブみたいなクラウドサービスを使うのをおすすめするよ」
「なるほど・・・それで結局、HDDとSSD、どっちが良いの?」
「予算と相談しつつ、というのが答えだね。HDDが遅いと言ってもそれはSSD比であって、言うほど遅いわけではない。それにHDD搭載機だと、比較的安価に大容量を入手できるメリットがあるよ。もちろん持ち歩きするときは慎重になるんだけどね」
「さらに最近はIntel Optaneメモリという、よく使うソフトなどをキャッシュして、HDDの速度をカバーできる小容量の記憶媒体も登場し始めたから、ちょっと予算は上がるけど選択肢を広げても良い」
「思わぬところにインテル入ってきたね」
「意外とインテルの守備範囲って広いんだよ」
「でもまだOptaneメモリ搭載機は少ないんだよね。Windows10の速度的ポテンシャルとコストのバランスを重視するなら、やっぱりSSDをおすすめするかな」
「となるとSSD搭載パソコンかなぁ。でも大容量のSSDだと高くなるっていう値段が気になるんだよね・・・」
「それなら小容量のM.2 SSDと、データ保管場所の大容量HDDを組み合わせたパソコンとかもあるよ。OSがM.2 SSD側にインストールされているから起動速度も速いし、同じ合計容量のSSD搭載マシンよりも比較的安価だからおすすめだね」
「そういうハイブリッドみたいな構成のパソコンもあるんだね」
「もちろん予算が許すなら、大容量SSD搭載パソコンでも全然問題ないよ。記憶装置以外の項目も比べてみて選んでみるのもひとつの手かな」
「こうして考えてみると、考慮要素が増えて選びにくくなってきたよ~?本当に最終的な決断が下せるのかなぁ・・・」
「パソコンは煮詰めすぎると永遠に迷い続けるからね。とりあえず他の項目を見ながら考えてみようよ」
「次は・・・なんだっけ?」
「グラフィック性能と外部接続だね。どっちがいい?」
「パソたんに任せるよぉ~、ちょっとあたしの書き込み速度が追いついてないかも」
「あーあ、パソたんレベルのパソコン知識もサクっと頭にインストールできないかなぁ・・・」
「映画マトリックスじゃないんだから・・・」
今回のまとめ
・HDDは容量に対して価格が安いが、駆動音や衝撃耐久度の問題がある
・SSDやeMMCは衝撃に強く無音だが、価格が高くもしもの時はデータ復旧がしにくい
・SSDの中でもM.2端子を用いるものは転送速度が桁違いに速い
・HDD環境でも速度が上がるIntel Optaneメモリという記憶媒体もある
・どの記憶媒体であっても、バックアップはしっかり取っておくべし!
「それぞれの記憶装置の特徴について、簡易的な一覧表を作ってみたよ。どれも一長一短だから、予算や使用シーンを思い浮かべながら考えてみてね」